「集まれ!! 地域の森を想う仲間たち」と題したシンポジュームと討論会がありました。
本会も私(跡部)が、オオムラサキの住める里山再生活動の立場からプレゼンテイター として参加しました。他に北杜市林政課長から北杜市の林政行政の立場からの獣害の現況や対策について報告があり、北杜市武川町で野猿の追跡調査をしている重田さんから、野猿の生態、対策について報告がありました。
ここ数年、周囲を山に囲まれている北杜市では、人里に野猿、鹿、猪、熊が出没するようになり話題になっています。こうしや野生動物の被害を被るのが農家です。時々、電車にぶつかる鹿
、猪もいます。熊の場合は、希ですが人が襲われる事例が聞かれます。また深刻な問題として、南アルプスの北岳にも鹿、猿が出没して、高山植物を食い荒らしていることです。こうした現況に、北杜市の住民は、どう向き合えば良いのか議論されました。
野猿を追跡調査しているグループは、「野猿は、自然の居住地に帰すべきで、人里に居るべきではない。何故なら人里の豊富な食料によって、自然淘汰が崩れてしまっている。結局、駆除する手段をとることになってしまう。」と主張し、反対に「猿、鹿可愛い。ウオッチングで商売する宿泊施設もある。このまま居なくなってしまうことは考えられない」という意見もあります。
参加者は、殆どが「自然がすばらしい」と移住してきた新しい住民ばかりで、地元の農家が居ません。農家の意見が聞かれないのが、やや上滑りの感じです。
私は、昔からの住人ですが、昔は私の居住地である里では、猿、鹿、猪は見たことがありませんでした。現在は、猿、鹿は何回も目撃しています。
何故、こんなに目撃されたり、農作物が食害されるようになったのか。単純に増えたから殺すとか減ったから保護するとかの繰り返しでよいのか。議論は高まるばかりです。ただし、ずっと昔から地域に伝わる生き方(技、知恵、作法)が失われていって、人も野生動物も節操を見失って、混乱や困惑の中で殺せ、やられてたまるかという現象を産みだしているのではないでしょうか。
節操を一番壊しているのは、私達人間属なのです。山奥までの開発も、里山の放置も全て私達の都合で、やっています。これに翻弄されているのがオオムラサキなど野生動物たちです。